時間が無い
小鬼にかまれる
お腹が痛くなって走れなくなる
落ちる
刺される
小鬼に指差される
重力に負ける
炭酸水の中を潜水する
焼夷弾が落ちてくる
空が焼ける
壁に穴があく
身を守るものが無い
時間が無い
子供が生まれる
蟻の背中に乗る
血がゼリー状になる
歯が全部抜ける
目が見えない
耳が取れる
空へ突き落とされる
割れたガラスの上で踏ん張る
夢から覚めても夢
叫ぶ
時間が無い
叫ぶ
叫ぶ
時間が無い
地面を蹴り上げる
父がいなくなる
絶叫
目覚める。
たまに見る夢。
起きる時は叫びながら泣いている。
小鬼にかまれる
お腹が痛くなって走れなくなる
落ちる
刺される
小鬼に指差される
重力に負ける
炭酸水の中を潜水する
焼夷弾が落ちてくる
空が焼ける
壁に穴があく
身を守るものが無い
時間が無い
子供が生まれる
蟻の背中に乗る
血がゼリー状になる
歯が全部抜ける
目が見えない
耳が取れる
空へ突き落とされる
割れたガラスの上で踏ん張る
夢から覚めても夢
叫ぶ
時間が無い
叫ぶ
叫ぶ
時間が無い
地面を蹴り上げる
父がいなくなる
絶叫
目覚める。
たまに見る夢。
起きる時は叫びながら泣いている。
********
声と歌詞、日本語の歌はやはりこの二つが重要。
これもこれとて、思い出すことがあるけれど、これは言葉にしたくない。感情が渦巻く。大混乱する。だから本能的に言葉にするのを避ける。蘇ってしまったらそれこそ先祖がえりというもの。
というのは置いておいて、とても素敵な音楽であることは確かです。未だにライブに行ったことは無いのが残念です。
でも、最近のへヴィローテーションは専らこのアルバムです。
ええ、危険度Sランクですね。
全身にビープ音が鳴り響いているようなもので、非常事態宣言です。
声と歌詞、日本語の歌はやはりこの二つが重要。
これもこれとて、思い出すことがあるけれど、これは言葉にしたくない。感情が渦巻く。大混乱する。だから本能的に言葉にするのを避ける。蘇ってしまったらそれこそ先祖がえりというもの。
というのは置いておいて、とても素敵な音楽であることは確かです。未だにライブに行ったことは無いのが残念です。
でも、最近のへヴィローテーションは専らこのアルバムです。
ええ、危険度Sランクですね。
全身にビープ音が鳴り響いているようなもので、非常事態宣言です。
溢れそうな水が排水溝へ
小さな渦をつくって流れていく
ぶつかって廻りながら消えてゆくの
覗き込めばそのまま引きずりこまれていく
あなたを想うあまり 夜ごと僕を誘う甘い刹那
人は儚いものに なぜかこんな惹かれ続けてしまう
************
このバンドはこの曲だけ、とても好き。
他はあまり知らなくてごめんなさい。
頭の中を壊し、大事な人を傷つけつづけた頃。
どうみても不毛な、栄養素皆無の寒天培地に飛び込んで、皮膚呼吸すら出来なくなっていた。
そのときにヘヴィローテーションで聴いていた。
基本的に時節に合わせて決まった曲に執着するから、久しぶりに音をなぞると過去の自分に戻って仕舞うことさえある。
小さな渦をつくって流れていく
ぶつかって廻りながら消えてゆくの
覗き込めばそのまま引きずりこまれていく
あなたを想うあまり 夜ごと僕を誘う甘い刹那
人は儚いものに なぜかこんな惹かれ続けてしまう
************
このバンドはこの曲だけ、とても好き。
他はあまり知らなくてごめんなさい。
頭の中を壊し、大事な人を傷つけつづけた頃。
どうみても不毛な、栄養素皆無の寒天培地に飛び込んで、皮膚呼吸すら出来なくなっていた。
そのときにヘヴィローテーションで聴いていた。
基本的に時節に合わせて決まった曲に執着するから、久しぶりに音をなぞると過去の自分に戻って仕舞うことさえある。
双葉
2006年9月7日長い夜を越えて、再び出会った。
彼女の目を見てこんなじっくり話をしたのは丸四年ぶりだった。
もう一度、こんな時間が来るなんて考えてもみなかった。
かつて同じ輪の中で、同じ螺旋を昇り、同じ養分を得ていたことを思い知らされた。
二つの葉に分かれて、別の方向を向いたきりで、このまま視線を掴み取ることなど出来ないと思っていた。
でも、同じ所に根ざしているから。分断されたわけではないのだ。
言葉にして、少し涙が出た。
彼女は泣かなかった。
私が泣きやめば、次は彼女の番だ。
でも、彼女の泣き場所はもう私の隣ではない。
彼女は泣かなかった。
幼い頃のように、少し笑った。
二人でこみ上げてくる笑いを堪えた。
長い長い夜で、恐ろしい夢を沢山見たけれど、それも必要だったのだと思うことにする。
とても遠い世界に居たのに、今の二人は同じような体験を別の場所で共有していた。そのことが可笑しくて。でも納得できて。
かつて、私の傍には貴方が居た。
語られることの無い言葉が沢山あった。
それを全てありのままに肯定する。
そして、もう一度太陽が昇る。
彼女の目を見てこんなじっくり話をしたのは丸四年ぶりだった。
もう一度、こんな時間が来るなんて考えてもみなかった。
かつて同じ輪の中で、同じ螺旋を昇り、同じ養分を得ていたことを思い知らされた。
二つの葉に分かれて、別の方向を向いたきりで、このまま視線を掴み取ることなど出来ないと思っていた。
でも、同じ所に根ざしているから。分断されたわけではないのだ。
言葉にして、少し涙が出た。
彼女は泣かなかった。
私が泣きやめば、次は彼女の番だ。
でも、彼女の泣き場所はもう私の隣ではない。
彼女は泣かなかった。
幼い頃のように、少し笑った。
二人でこみ上げてくる笑いを堪えた。
長い長い夜で、恐ろしい夢を沢山見たけれど、それも必要だったのだと思うことにする。
とても遠い世界に居たのに、今の二人は同じような体験を別の場所で共有していた。そのことが可笑しくて。でも納得できて。
かつて、私の傍には貴方が居た。
語られることの無い言葉が沢山あった。
それを全てありのままに肯定する。
そして、もう一度太陽が昇る。
形容しがたい
何となく、中学生の時に良く使っていた。
逃げの、字数稼ぎの言葉。
けいようしがたい
ケイヨウシガタイ
このことばで、むずかしいことはすべてかたづいた
別れは緩慢にやってくるものではない
ある日突然、そちらの道は閉ざされて
消えてなくなる。
あとはパラレルワールド。
二度と出会うことは無い。
何となく、中学生の時に良く使っていた。
逃げの、字数稼ぎの言葉。
けいようしがたい
ケイヨウシガタイ
このことばで、むずかしいことはすべてかたづいた
別れは緩慢にやってくるものではない
ある日突然、そちらの道は閉ざされて
消えてなくなる。
あとはパラレルワールド。
二度と出会うことは無い。
ファイナルファンタジーIII
スクウェア・エニックス 2006/08/24 ¥5,980→ビック価格で。
つい、帰宅時に寄り道してしまった。
というか、毎日忙しくして、寝る時間も足りないのにほんと莫迦。
なにやら、素通りできず…空手家になりたいな、とかおかしな妄想がむくむくと首をもたげてしまい…。疲れたなあ、【ハイポーション】【ください】とか、呪文のようにつぶやいたりして。
おばあちゃんになったら、死ぬまで莫迦みたいな時間の使い方してやるんだ、と思っている。
やりのこしたRPGとか。
漫画読むとか。
見知らぬ外国人とチャットするとか。
開けないのは寂しいから、毎日十分だけやることにします。
スクウェア・エニックス 2006/08/24 ¥5,980→ビック価格で。
つい、帰宅時に寄り道してしまった。
というか、毎日忙しくして、寝る時間も足りないのにほんと莫迦。
なにやら、素通りできず…空手家になりたいな、とかおかしな妄想がむくむくと首をもたげてしまい…。疲れたなあ、【ハイポーション】【ください】とか、呪文のようにつぶやいたりして。
おばあちゃんになったら、死ぬまで莫迦みたいな時間の使い方してやるんだ、と思っている。
やりのこしたRPGとか。
漫画読むとか。
見知らぬ外国人とチャットするとか。
開けないのは寂しいから、毎日十分だけやることにします。
グリーンカレー、たまに無性に食べたくなる。
という訳で缶詰購入。
本当は手作りしたいけれど、作りなれてないから感覚もないし、調味料が足りない。
でも、普通に美味しかった。勿論、具を足したり多少加工はしたが。
彼の隣でゲームの様子を見ながら食す。
彼はカレーを食べつつ、左手でたまに必殺技を放つ。
お行儀悪い、とか怒ってみたいが、相手は大人なのでわざわざそんなこと言う必要性が見当たらなかった。
ながら族は自分は好まないけど。テレビ見ながら食事するなら、ゲームしながらでも、新聞読みながらでも同じレベルな気がするので。
本当はゆっくり会話でも楽しむべきだと思いますが。
何話せばいいか、ね。疑問。
幼い頃実家では無言でテレビも無しで、黙々と食べていた気がする。
どうでもいいが、彼は自分のことを女だと偽ってゲームをしている。本物の女の目からすれば、女の子らしからぬ発言が気になってしょうがない。女の子社会では絶対そんなこといわない、とか、いちいち思う。しかし、リーダーシップもあり、ゲームに関する知識も豊富で、言葉は丁寧。かつ英語が使えて、コミュニケーション能力も高いので、人望は厚い。今のところばれていない。見知らぬ外国人にもよく贈り物をされている。そんなにモテるなら、女としてリアルでもやっていけるんじゃないか、とも思う位。
でもね、本当に女の子だったらそんなにゲームやってられないと思う。寝ないと肌荒れるし、お風呂だって5分とかで済ませるわけにはいかない日もあると思うの。
まあ、いいけどね。
私は隣でDSしてました。大抵は本読むか、一緒に居ても一人遊び。しばらく忙しくなるから時間とって会いに行った割には、いつもと同じ。あはは。
という訳で缶詰購入。
本当は手作りしたいけれど、作りなれてないから感覚もないし、調味料が足りない。
でも、普通に美味しかった。勿論、具を足したり多少加工はしたが。
彼の隣でゲームの様子を見ながら食す。
彼はカレーを食べつつ、左手でたまに必殺技を放つ。
お行儀悪い、とか怒ってみたいが、相手は大人なのでわざわざそんなこと言う必要性が見当たらなかった。
ながら族は自分は好まないけど。テレビ見ながら食事するなら、ゲームしながらでも、新聞読みながらでも同じレベルな気がするので。
本当はゆっくり会話でも楽しむべきだと思いますが。
何話せばいいか、ね。疑問。
幼い頃実家では無言でテレビも無しで、黙々と食べていた気がする。
どうでもいいが、彼は自分のことを女だと偽ってゲームをしている。本物の女の目からすれば、女の子らしからぬ発言が気になってしょうがない。女の子社会では絶対そんなこといわない、とか、いちいち思う。しかし、リーダーシップもあり、ゲームに関する知識も豊富で、言葉は丁寧。かつ英語が使えて、コミュニケーション能力も高いので、人望は厚い。今のところばれていない。見知らぬ外国人にもよく贈り物をされている。そんなにモテるなら、女としてリアルでもやっていけるんじゃないか、とも思う位。
でもね、本当に女の子だったらそんなにゲームやってられないと思う。寝ないと肌荒れるし、お風呂だって5分とかで済ませるわけにはいかない日もあると思うの。
まあ、いいけどね。
私は隣でDSしてました。大抵は本読むか、一緒に居ても一人遊び。しばらく忙しくなるから時間とって会いに行った割には、いつもと同じ。あはは。
虚数の情緒―中学生からの全方位独学法
2006年8月24日 読書
吉田 武 東海大学出版会 2000/03
¥4,515
「本書は人類文化の全体的把握を目指した科目分野に拘らない"独習書"である。」
言わずと知れた名著。
もし本当に、中学生の時にこの本に出会ってたら人生のルート根本的に変わってたと思う。
生半可な本ではない。
¥4,515
「本書は人類文化の全体的把握を目指した科目分野に拘らない"独習書"である。」
言わずと知れた名著。
もし本当に、中学生の時にこの本に出会ってたら人生のルート根本的に変わってたと思う。
生半可な本ではない。
台本は無い。
2006年8月23日彼は、私の秩序とは全く違うところで生きていた人だ。
彼は私が泣き喚いても、決して揺らがず、ゆっくりと優しい声で、私が欲しい言葉をくれた。
私の幼稚な論理武装を、うんうんといって聞き、「それはそう考えるだけが唯一の筋道ではないんじゃない?」と言って、私が余計に泣いても構わずに話を続けた。
私の背中は、自分の思い込みだけで凝り固まっていて、とても不自由な体だった。何事も言葉で知って、頭の中で考えて得たものだらけで、肉体的な実感を伴った経験が無く、全てが頭でっかちの子供の姿のままだった。
彼は、分からず屋の私と出会って、半年の間に10キロ近く体重が減った。もともとぽっちゃりしていた、という事情もあるけど。
今思えば、彼はそれだけのパワーを使って、私を育てなおしてくれたのだと思う。身体的な感覚をオンにして、人と向き合うということは初めての体験だった。それは単に体が触れ合うというような意味ではない。
何故、そんなことをわざわざしようと思ったのか判らない。
少なくとも、今の彼の停滞は、この頃の膿を温床としている気がする。そういうものを代わりに飲み込んで、羽化していたはずの輝く甲虫が、繭を作り、芋虫に戻ってしまったのかもしれない。
私のせい、と思うのはおこがましいだろう。
彼の人生は彼のものだ。
貴方のおかげで今の私がある、というのもあつかましいだろう。
そんなことを言うつもりは無い。
彼は私の人生を語るとすれば、欠くことのできない登場人物だ。
それだけのことだ。
手を離せば終わる。
でも、今この閉塞感だって、いつか何かに代わるかもしれない。
泣きながら何も見ずに、手を離そうとするのが以前の私。
代わるとしたら何になるのだろう、と考えるのが今の私。
全く先は見えないけれど、未来を全て悲観しているのではない。
それは彼の能力そのものの価値が下がった訳ではないし、失った訳でもない。その点に揺らぎは無く、私は能力に他者評価の一番の重きを置く。才能に惚れこむ、といった方が早いか。
私から見れば、躓きなど大したものではなく、彼は自分の事実を見定めるのを嫌がっているだけの、単純な問題だ。
私と同じように、非常に偏った人間である。
そのことが今まで露呈しなかったことが不思議。どんな環境で育ったのか、話を聞いても想像できないのだ。そういうところには共通点は無い。
今まさに離れてゆく中で、今とは何であったのかを知る時、彼は傍に居ないだろうけど。
きっと、焼きついた彼の姿を心から大事に思うだろう。
静止画となってしまった姿を、丁寧になぞると思う。今はそんな余裕が無いけれど。
私の姿は、どのように焼きつくのか。
墓にしまい込んで、全く思い出すことも無いかもしれない。それでよいと思う。
出会ってよかった、と思うことくらい許されるだろうか。
彼は私が泣き喚いても、決して揺らがず、ゆっくりと優しい声で、私が欲しい言葉をくれた。
私の幼稚な論理武装を、うんうんといって聞き、「それはそう考えるだけが唯一の筋道ではないんじゃない?」と言って、私が余計に泣いても構わずに話を続けた。
私の背中は、自分の思い込みだけで凝り固まっていて、とても不自由な体だった。何事も言葉で知って、頭の中で考えて得たものだらけで、肉体的な実感を伴った経験が無く、全てが頭でっかちの子供の姿のままだった。
彼は、分からず屋の私と出会って、半年の間に10キロ近く体重が減った。もともとぽっちゃりしていた、という事情もあるけど。
今思えば、彼はそれだけのパワーを使って、私を育てなおしてくれたのだと思う。身体的な感覚をオンにして、人と向き合うということは初めての体験だった。それは単に体が触れ合うというような意味ではない。
何故、そんなことをわざわざしようと思ったのか判らない。
少なくとも、今の彼の停滞は、この頃の膿を温床としている気がする。そういうものを代わりに飲み込んで、羽化していたはずの輝く甲虫が、繭を作り、芋虫に戻ってしまったのかもしれない。
私のせい、と思うのはおこがましいだろう。
彼の人生は彼のものだ。
貴方のおかげで今の私がある、というのもあつかましいだろう。
そんなことを言うつもりは無い。
彼は私の人生を語るとすれば、欠くことのできない登場人物だ。
それだけのことだ。
手を離せば終わる。
でも、今この閉塞感だって、いつか何かに代わるかもしれない。
泣きながら何も見ずに、手を離そうとするのが以前の私。
代わるとしたら何になるのだろう、と考えるのが今の私。
全く先は見えないけれど、未来を全て悲観しているのではない。
それは彼の能力そのものの価値が下がった訳ではないし、失った訳でもない。その点に揺らぎは無く、私は能力に他者評価の一番の重きを置く。才能に惚れこむ、といった方が早いか。
私から見れば、躓きなど大したものではなく、彼は自分の事実を見定めるのを嫌がっているだけの、単純な問題だ。
私と同じように、非常に偏った人間である。
そのことが今まで露呈しなかったことが不思議。どんな環境で育ったのか、話を聞いても想像できないのだ。そういうところには共通点は無い。
今まさに離れてゆく中で、今とは何であったのかを知る時、彼は傍に居ないだろうけど。
きっと、焼きついた彼の姿を心から大事に思うだろう。
静止画となってしまった姿を、丁寧になぞると思う。今はそんな余裕が無いけれど。
私の姿は、どのように焼きつくのか。
墓にしまい込んで、全く思い出すことも無いかもしれない。それでよいと思う。
出会ってよかった、と思うことくらい許されるだろうか。
彼方
2006年8月21日絶望の淵は白い光に満ちている。
頭の奥に、白いものが生えてくる。
広がって、反射する。
そうすると身動きが取れなくなって何も出来なくなる。
他人の気配も、自分の姿さえも、白く塗りつぶされる。
自分が不在になる、けれど世界はなくならない。
頭の奥に、白いものが生えてくる。
広がって、反射する。
そうすると身動きが取れなくなって何も出来なくなる。
他人の気配も、自分の姿さえも、白く塗りつぶされる。
自分が不在になる、けれど世界はなくならない。
彼は日が暮れる頃から日がまた昇る頃まで同じ動作(私にはそう見える)を続けていたらしい。冒険者としてレベルを上げたり、スキルをあげたり、人の頼みに親切に手助けしたり。
彼に言わせると色々あるらしい。
私にはただの作業にしか見えない。
その後、少し眠って、9時間拘束のアルバイトに出かけた。
お互いバイト終了後に一緒にご飯を食べる約束をしていたので、落ち合う。ご飯の最中は「もう眠い、もう疲れた」と嘆いていた。
食事が終わると同時に、ゲーム機が起動される。
開始十分後、「眠い…今日はもう寝よう」と一人言をつぶやく。
彼は一人だと果物は全く食べない。野菜は少し食べるらしいが。
私が訪れた際はなるべくフルーツを添えるようにしている。単に私が好きなだけ、というのもあるが、彼は口内炎が痛いなどとよく言っているからついた習慣でもある。
果物を食べると、甘いもので少し疲れが癒されたようだ。
そこで、「よし、アイスも食べよう。そうすればもっと頑張れる気がする。」と言い出した。
私は本を読んでいたので関せず。
彼は大好物のアイスを持ち出し、意気揚々と冒険の旅に出た。
私は本を読んだり、なにやらしているうちに眠くなり、先に寝てしまった。
彼は結局、朝日が昇るまで、冒険をしていた。
ふと目が醒めてみれば、パッドを握ったままの同じ体勢だった。
仮想世界の冒険者にも時間の流れがあって、昼も夜も巡っているが、必ず家に帰り眠らなくては生きていけないということは無い。
仮想世界の中の一週間、ぶっ続けで同じことをしても、そのせいでどんどん消耗して死ぬ、ということは無い。食事も必要が無ければしなくて良い。お金は現実世界以上に稼ぐ必要があるらしいが。
仮想世界の中の自分はどれだけ好きに生きても、苦しみは無い。
彼は現実の肉体に囚われているので、どんどん消耗していく。衰弱していく。
差し込む光の中に、同じ音楽の繰り返しと反射する画面、微かに動き続ける目玉、指。
「もう限界だ…」
といって、仲間と別れ、彼はゲーム機の電源を切った。
次に目覚めた時、一緒に居た仲間は同じ場所でまだ冒険をしていた。自分はここまでのレベルには至ってないから大丈夫です、とでもいいたげに、私を見つめ返していた。
彼に言わせると色々あるらしい。
私にはただの作業にしか見えない。
その後、少し眠って、9時間拘束のアルバイトに出かけた。
お互いバイト終了後に一緒にご飯を食べる約束をしていたので、落ち合う。ご飯の最中は「もう眠い、もう疲れた」と嘆いていた。
食事が終わると同時に、ゲーム機が起動される。
開始十分後、「眠い…今日はもう寝よう」と一人言をつぶやく。
彼は一人だと果物は全く食べない。野菜は少し食べるらしいが。
私が訪れた際はなるべくフルーツを添えるようにしている。単に私が好きなだけ、というのもあるが、彼は口内炎が痛いなどとよく言っているからついた習慣でもある。
果物を食べると、甘いもので少し疲れが癒されたようだ。
そこで、「よし、アイスも食べよう。そうすればもっと頑張れる気がする。」と言い出した。
私は本を読んでいたので関せず。
彼は大好物のアイスを持ち出し、意気揚々と冒険の旅に出た。
私は本を読んだり、なにやらしているうちに眠くなり、先に寝てしまった。
彼は結局、朝日が昇るまで、冒険をしていた。
ふと目が醒めてみれば、パッドを握ったままの同じ体勢だった。
仮想世界の冒険者にも時間の流れがあって、昼も夜も巡っているが、必ず家に帰り眠らなくては生きていけないということは無い。
仮想世界の中の一週間、ぶっ続けで同じことをしても、そのせいでどんどん消耗して死ぬ、ということは無い。食事も必要が無ければしなくて良い。お金は現実世界以上に稼ぐ必要があるらしいが。
仮想世界の中の自分はどれだけ好きに生きても、苦しみは無い。
彼は現実の肉体に囚われているので、どんどん消耗していく。衰弱していく。
差し込む光の中に、同じ音楽の繰り返しと反射する画面、微かに動き続ける目玉、指。
「もう限界だ…」
といって、仲間と別れ、彼はゲーム機の電源を切った。
次に目覚めた時、一緒に居た仲間は同じ場所でまだ冒険をしていた。自分はここまでのレベルには至ってないから大丈夫です、とでもいいたげに、私を見つめ返していた。
ちいさなちいさな王様
2006年8月18日 読書
ミヒャエル ゾーヴァ
講談社 1996/10
なんというか、ほんとうに素敵。
日常の隣にある小さなファンタジーです。
個人的には、自分の歴史を震撼させる内容でした。
何ともいえません。
ミステリではネタが被ることはあるといいますけど。
何ともいえません。
自分の非力さと、物語文学の世界の広さ・きらめきを実感できる作品となりました。
講談社 1996/10
なんというか、ほんとうに素敵。
日常の隣にある小さなファンタジーです。
個人的には、自分の歴史を震撼させる内容でした。
何ともいえません。
ミステリではネタが被ることはあるといいますけど。
何ともいえません。
自分の非力さと、物語文学の世界の広さ・きらめきを実感できる作品となりました。
観察する理由
2006年8月18日彼の行く末を見届けてみたい、という好奇心。
軌道修正はあまり期待してない。
彼は私よりはるかに自活する能力を持っているが、それをわざと引っ込めている。
そのうち適当なところで折り合いをつけて、いつか切り返すのは判っている。自分を見失っているというよりは、傷つかないように引っ込めている様子。
彼とは、恋愛の領域内では収拾のつかない関係だ。
理性的に考えれば、何で一緒に居るのか判らない。
当然この先発展も無いし、友人として収まることも無いだろう。
切れて、離れて、何万光年もの彼方へお互いの座標を求めていくのだろうけど。必ず忘れてしまうだろうその過程を、少し留めておきたくなった。
それは、出会ったときの衝撃を今はもう何も覚えていないことが悔やまれるからかもしれない。
私ばかりが搾取されているわけではない。
彼も私に搾取されている。
二人が一緒に居る理由は、ポジティブなものは既に何も無くて、お互いに困った小さな病を抱えている故に離れるにはしばし時間がかかる、その離れていくさなかである、という認識である。
殺しあって終わるとしたら、その記述が出来ないのが心残りだ。
でもその心配は無い。
彼はその手のネガティブさから程遠い。
軌道修正はあまり期待してない。
彼は私よりはるかに自活する能力を持っているが、それをわざと引っ込めている。
そのうち適当なところで折り合いをつけて、いつか切り返すのは判っている。自分を見失っているというよりは、傷つかないように引っ込めている様子。
彼とは、恋愛の領域内では収拾のつかない関係だ。
理性的に考えれば、何で一緒に居るのか判らない。
当然この先発展も無いし、友人として収まることも無いだろう。
切れて、離れて、何万光年もの彼方へお互いの座標を求めていくのだろうけど。必ず忘れてしまうだろうその過程を、少し留めておきたくなった。
それは、出会ったときの衝撃を今はもう何も覚えていないことが悔やまれるからかもしれない。
私ばかりが搾取されているわけではない。
彼も私に搾取されている。
二人が一緒に居る理由は、ポジティブなものは既に何も無くて、お互いに困った小さな病を抱えている故に離れるにはしばし時間がかかる、その離れていくさなかである、という認識である。
殺しあって終わるとしたら、その記述が出来ないのが心残りだ。
でもその心配は無い。
彼はその手のネガティブさから程遠い。
喧嘩のパターン
2006年8月17日喧嘩をしすぎて、喧嘩のパターンがもう無い。
ちょっとしたことで、殺し合いになるのではないか、という不安。
冗談ではない。
終わりが見えない閉塞感。
何かが頭の中でブチンと弾けて、目の前が真っ白になった。
ちょっとしたことで、殺し合いになるのではないか、という不安。
冗談ではない。
終わりが見えない閉塞感。
何かが頭の中でブチンと弾けて、目の前が真っ白になった。
今日は不機嫌なまま帰宅したので、自分の部屋に居ても落ち着かず…こういうときはキッチンにとりあえず立つ。
桃が目に入った。
私はこの時期、桃に狂う。今我が家にある桃はたまたま母が実家に帰った折に担いで帰ってきたものである(大袈裟)。ありがたい。
できれば自分で産地へ出向いて買い込んできたいくらい、である。
甘みの少ない、さらっとした自家製の梅酒に、一切れの桃を浮かべた。淡い桃色のお酒(ピンクという意味ではない。)。
大した手間ではないが、美味しい。
ソファでボケボケとそれを飲んでいたら少し元気になった。
しかし、問題は残りの桃である。
桃はすぐに茶色に変色するし…かといってそんなに夜中に沢山食べたら…どう処理しようか、只今悩んでいる最中である。
夏の夜は長い。
今日は流星群見れるかな…
それくらい起きているつもりなら食べても大丈夫かな…
う〜ん。
桃が目に入った。
私はこの時期、桃に狂う。今我が家にある桃はたまたま母が実家に帰った折に担いで帰ってきたものである(大袈裟)。ありがたい。
できれば自分で産地へ出向いて買い込んできたいくらい、である。
甘みの少ない、さらっとした自家製の梅酒に、一切れの桃を浮かべた。淡い桃色のお酒(ピンクという意味ではない。)。
大した手間ではないが、美味しい。
ソファでボケボケとそれを飲んでいたら少し元気になった。
しかし、問題は残りの桃である。
桃はすぐに茶色に変色するし…かといってそんなに夜中に沢山食べたら…どう処理しようか、只今悩んでいる最中である。
夏の夜は長い。
今日は流星群見れるかな…
それくらい起きているつもりなら食べても大丈夫かな…
う〜ん。
凄く変なタイミングで、変なお便りが来た。
それは、親切なのか。悪意なのかわからないけれど。
今更過ぎる言葉は、悪く捉えてしまいがちになる。
平穏にリズムを刻むよう、胸を撫でつけながらリハビリをしてきたのに、突然真皮の下で体がざわついた。
仕方が無いので、満面の笑みで追い返した。
攻撃よりも穏便で、徹底的に追い返すならば「笑顔」だと思う。
君はもう私のところへ土足で入ってきちゃ駄目よ、というメッセージだということに気づいていないところが本当に可愛らしい。
可愛いからって許してあげるわけではないけど。
それは、親切なのか。悪意なのかわからないけれど。
今更過ぎる言葉は、悪く捉えてしまいがちになる。
平穏にリズムを刻むよう、胸を撫でつけながらリハビリをしてきたのに、突然真皮の下で体がざわついた。
仕方が無いので、満面の笑みで追い返した。
攻撃よりも穏便で、徹底的に追い返すならば「笑顔」だと思う。
君はもう私のところへ土足で入ってきちゃ駄目よ、というメッセージだということに気づいていないところが本当に可愛らしい。
可愛いからって許してあげるわけではないけど。
今日は一緒に出かける約束をしていた。
昨日、彼は「明日は駅に集合ね」といった。私は眠れなくて朝の七時まで起きていたが、兎に角間に合うように起きた。
しかし、一抹の不安はあった。
何故なら、昨日彼の家を出るとき、彼は私の存在を完全に失念していたからだ。
「帰るね。」
「…」
「明日ね。」
「ああ、うん。」
「おやすみ。」
「…ああ、もうみんな突入してるし。待って〜」
冒険者たちは宝探しのイベントに旅立っている最中。明日の約束を私と喋っているあいだに彼は出遅れたのだ。
私は玄関に立った。
「ほんとに帰るよ。」
「…」
彼はいつものように振り向かない。
「…」
私は家を出た。出て行ったことに気づかなかったのだろう、以降連絡も入らなかったので、完全に忘れているな…、万が一覚えてても起きられないんだろうな…と予想。
見事に的中。
私はとりあえず、一時間だけ駅で待った。雷が鳴っているので帰った。
彼からのメール 『ごめんなさい もうころしてくれ』
死に至らしめる魔法の呪文を私は知らない。
だって、彼の世界に共に住める冒険者ではないから。
昨日、彼は「明日は駅に集合ね」といった。私は眠れなくて朝の七時まで起きていたが、兎に角間に合うように起きた。
しかし、一抹の不安はあった。
何故なら、昨日彼の家を出るとき、彼は私の存在を完全に失念していたからだ。
「帰るね。」
「…」
「明日ね。」
「ああ、うん。」
「おやすみ。」
「…ああ、もうみんな突入してるし。待って〜」
冒険者たちは宝探しのイベントに旅立っている最中。明日の約束を私と喋っているあいだに彼は出遅れたのだ。
私は玄関に立った。
「ほんとに帰るよ。」
「…」
彼はいつものように振り向かない。
「…」
私は家を出た。出て行ったことに気づかなかったのだろう、以降連絡も入らなかったので、完全に忘れているな…、万が一覚えてても起きられないんだろうな…と予想。
見事に的中。
私はとりあえず、一時間だけ駅で待った。雷が鳴っているので帰った。
彼からのメール 『ごめんなさい もうころしてくれ』
死に至らしめる魔法の呪文を私は知らない。
だって、彼の世界に共に住める冒険者ではないから。
奈落の底へ、どんと背中を押して
全て引きちぎってあげようか
一瞬だけ、残酷な笑顔になる。
思い直して、考えをすぐに改めるけど、限界なのは判っている。
終わりを告げる鐘が鳴り響けば、あっけなく終われる所まで来ているのに。
鳴らない。
じりじりする。
終わって欲しいのか
終わって欲しくないのか
自分の思い通りにならないなら、終わればいいのに。
結局はそういう、大人の悪い考えなのだ。
子供にはそのような悪さは無い。
子供はもっと素直にストレートな邪悪さを持っている。
人を悪く思うとき、子供心を取り戻したいと思う。
全て引きちぎってあげようか
一瞬だけ、残酷な笑顔になる。
思い直して、考えをすぐに改めるけど、限界なのは判っている。
終わりを告げる鐘が鳴り響けば、あっけなく終われる所まで来ているのに。
鳴らない。
じりじりする。
終わって欲しいのか
終わって欲しくないのか
自分の思い通りにならないなら、終わればいいのに。
結局はそういう、大人の悪い考えなのだ。
子供にはそのような悪さは無い。
子供はもっと素直にストレートな邪悪さを持っている。
人を悪く思うとき、子供心を取り戻したいと思う。
魔法使いのチョコレート・ケーキ
2006年8月11日 読書
Margaret Mahy
福音館書店 1984/01
思い出の本。
翻訳も素晴らしいと思う。
小さな頃、ケーキが嫌いだった。
でもここに出てくる魔法使いが作るチョコレートケーキが美味しそうで、以後食べれるようになった。
チョコレートの味が濃い奴ならば。
魔法が下手な魔法使い。でも料理の腕はピカイチ。
卵十個で作ったカステラととろかしたチョコレート。
大きく切ったのが、私も好き。
油っぽいチョコレートを生クリーム混ぜただけの偽物はいりません。
福音館書店 1984/01
思い出の本。
翻訳も素晴らしいと思う。
小さな頃、ケーキが嫌いだった。
でもここに出てくる魔法使いが作るチョコレートケーキが美味しそうで、以後食べれるようになった。
チョコレートの味が濃い奴ならば。
魔法が下手な魔法使い。でも料理の腕はピカイチ。
卵十個で作ったカステラととろかしたチョコレート。
大きく切ったのが、私も好き。
油っぽいチョコレートを生クリーム混ぜただけの偽物はいりません。
気に食わない彼の生活態度を観察する。
彼は人生に躓いた。
以後、仮想世界へ逃避行を続けている。
そんな彼を、私は毎日見つめている。
彼は今日も仮想世界へ冒険に出ている。一日の殆どをそこで過ごしている。
一緒にゴハンを食べようか、と誘うも、気の無い返事。
「ハンバーガ、食べたい」と仰りつつ、訪問許可が下りない。何故なら昨日の夜、私にひどく怒られたからだ。いじけている。もう怒らないよ、とメールをすると、「夕食は焼き鳥丼かな…」との返事。私はバイト終了後に彼宅へ向かう。
冒険は仲間と共に珍宝を探す旅の真っ最中。しかし訪れてみるとご飯を炊き味噌汁を途中まで作りかけていた。彼はゲームをしながら家事を同時平行で行うのが上手だ(ほめてない)。私は黙って食事の続きを作り始める。メニューは、焼き鳥丼・ポテトのチーズ焼き・お味噌汁。
しばらくすると「ああ、どうしよう」と焦り始める。「ごはんできたよ」と言うと悲壮な表情でこちらをチラ見している。
私は色んなことを諦めてきたので、もう動じない。「ゲームしながら食べていいよ」と言って片手で食べれるようにスプーンを渡すと、一層悲壮な目で、それではせっかく来てくれたのに申し訳ないと呟く。といってもオンラインゲームは一人でプレイ出来ない。同じ時間を共有している仲間が居る。彼には私用でそれを断ち切ることは出来ない。彼はパッドとキーボードを膝に抱え、スプーンを片手にディスプレイを見つめている。私はその奇妙な食事風景を眺めながらもそもそとご飯を食べた。
そして、ゲーム内の社会ではとても貴重とされているアイテムを彼は仲間を差し置いて自分だけ、この食事中に手に入れた。申し訳なさそうな情けないような嬉しいような複雑な顔をしていた。あまりの場面を目の当たりにした私は思わず味噌汁をこぼした。彼は綺麗好きで、部屋を汚すととても怒る。しかし、今日は怒らなかった。
彼は人生に躓いた。
以後、仮想世界へ逃避行を続けている。
そんな彼を、私は毎日見つめている。
彼は今日も仮想世界へ冒険に出ている。一日の殆どをそこで過ごしている。
一緒にゴハンを食べようか、と誘うも、気の無い返事。
「ハンバーガ、食べたい」と仰りつつ、訪問許可が下りない。何故なら昨日の夜、私にひどく怒られたからだ。いじけている。もう怒らないよ、とメールをすると、「夕食は焼き鳥丼かな…」との返事。私はバイト終了後に彼宅へ向かう。
冒険は仲間と共に珍宝を探す旅の真っ最中。しかし訪れてみるとご飯を炊き味噌汁を途中まで作りかけていた。彼はゲームをしながら家事を同時平行で行うのが上手だ(ほめてない)。私は黙って食事の続きを作り始める。メニューは、焼き鳥丼・ポテトのチーズ焼き・お味噌汁。
しばらくすると「ああ、どうしよう」と焦り始める。「ごはんできたよ」と言うと悲壮な表情でこちらをチラ見している。
私は色んなことを諦めてきたので、もう動じない。「ゲームしながら食べていいよ」と言って片手で食べれるようにスプーンを渡すと、一層悲壮な目で、それではせっかく来てくれたのに申し訳ないと呟く。といってもオンラインゲームは一人でプレイ出来ない。同じ時間を共有している仲間が居る。彼には私用でそれを断ち切ることは出来ない。彼はパッドとキーボードを膝に抱え、スプーンを片手にディスプレイを見つめている。私はその奇妙な食事風景を眺めながらもそもそとご飯を食べた。
そして、ゲーム内の社会ではとても貴重とされているアイテムを彼は仲間を差し置いて自分だけ、この食事中に手に入れた。申し訳なさそうな情けないような嬉しいような複雑な顔をしていた。あまりの場面を目の当たりにした私は思わず味噌汁をこぼした。彼は綺麗好きで、部屋を汚すととても怒る。しかし、今日は怒らなかった。