彼に会った。
久しぶりに、連絡を受けとった。
正直なところ、生きているのかさえ知りたくない気分だった。元気なのか確認するのも、確認が取れないのも嫌だった。
私が出来ることは無い。見守ることさえ出来ない。徐々に離れていくのを止めることは出来なかったのだし。
緩やかに時は流れる。
少なくとも彼の上では、そうなんだと思った。
忘れないで居てくれたことが嬉しかった。まあ忘れるほうが難しいこともあるんだ、と言っていた。彼と私は、何者なのかという問いを濁したまま5年の月日が経った。そんなつもりで、会わないだとか話があるとかそういうわけではないと言う。そんなつもり、って何だろう。私には関係ないことだった。私は特に何のつもりも無い。
真夜中に食事に行く。
そんな時間に大しておいしいものが食べられると言うわけではなかったが、一緒に食べられると言う幸福感がかつてはちゃんとあったことを思い出した。というのも、私は家で家族と食卓を囲むということはしないからだ。最近は、ごく稀に友人と機会が持てたときだけで、飲み会のような席は遠慮していたし、正面に一番見慣れた顔があると言うと言うことが不思議でさえあった。
ぽつぽつと言葉を交わして、一時間くらいで別れた。
あまり長い時間顔を合わせて居られるようではなかった。何だか気恥ずかしいし、言葉が思いつかないと言っていた。
私はなんとなく、隣の席のおじいさんをずっと見ていた。コーヒーとマフィンが二つ。薄暗い照明の下で難しい本を読んでいた。漢文調の和文の様な、古い言葉。日本人が漢文のつもりで書いたようなもの。私はそのおじいさんに向き合って座っているような気持ちで、彼の前に居た。つまり、息苦しくも無ければ、興奮も無い、穏やかで揺らぎの目立たない気持ちになった。
彼は自分には意気地が無いと言い、私はそうだねと言って笑った。
私のほうはと言えば、自分の勉強のことや学校のこと、沖縄に行きたいといった誰にでも話すことを適当に言いたいだけ話した。
私は少しだけ眠って、朝一のゼミに出た。
胃がもたれても不快な気分にはならなかった。
久しぶりに、連絡を受けとった。
正直なところ、生きているのかさえ知りたくない気分だった。元気なのか確認するのも、確認が取れないのも嫌だった。
私が出来ることは無い。見守ることさえ出来ない。徐々に離れていくのを止めることは出来なかったのだし。
緩やかに時は流れる。
少なくとも彼の上では、そうなんだと思った。
忘れないで居てくれたことが嬉しかった。まあ忘れるほうが難しいこともあるんだ、と言っていた。彼と私は、何者なのかという問いを濁したまま5年の月日が経った。そんなつもりで、会わないだとか話があるとかそういうわけではないと言う。そんなつもり、って何だろう。私には関係ないことだった。私は特に何のつもりも無い。
真夜中に食事に行く。
そんな時間に大しておいしいものが食べられると言うわけではなかったが、一緒に食べられると言う幸福感がかつてはちゃんとあったことを思い出した。というのも、私は家で家族と食卓を囲むということはしないからだ。最近は、ごく稀に友人と機会が持てたときだけで、飲み会のような席は遠慮していたし、正面に一番見慣れた顔があると言うと言うことが不思議でさえあった。
ぽつぽつと言葉を交わして、一時間くらいで別れた。
あまり長い時間顔を合わせて居られるようではなかった。何だか気恥ずかしいし、言葉が思いつかないと言っていた。
私はなんとなく、隣の席のおじいさんをずっと見ていた。コーヒーとマフィンが二つ。薄暗い照明の下で難しい本を読んでいた。漢文調の和文の様な、古い言葉。日本人が漢文のつもりで書いたようなもの。私はそのおじいさんに向き合って座っているような気持ちで、彼の前に居た。つまり、息苦しくも無ければ、興奮も無い、穏やかで揺らぎの目立たない気持ちになった。
彼は自分には意気地が無いと言い、私はそうだねと言って笑った。
私のほうはと言えば、自分の勉強のことや学校のこと、沖縄に行きたいといった誰にでも話すことを適当に言いたいだけ話した。
私は少しだけ眠って、朝一のゼミに出た。
胃がもたれても不快な気分にはならなかった。
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