お月見

2006年10月7日 俗物
まっすぐ、お月様に向かって顔を向けて、まっすぐ歩く。
夜の一人歩きはもう肌寒い。

彼の家へ歩いて向かう。
今までは外に出るのも嫌みたいで、迎えに来ることを申し出ることもなかった。涼しくなって、気が変わったのかもしれない。

途中から二人で歩いた。
私は空を仰ぎ見て、彼はまっすぐ行く末を見つめていた。

いつもお互い噛み合わないのに、肩を並べて歩けることがある種の驚異だ。いつの間にか前を行く、彼の背中をいつも見ている。
同じ歩幅では歩けない。
いずれ気づかぬうちに、ずっと先へ行ってしまうのだろう。
彼はその手を差し出すことはない。
それに私は捕まえられないだろう。

彼は一度も月を見なかった。
私は一度も彼の顔を見なかった。

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渦

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